並柳ジローと考えよう!PTAについて

並柳ジローです。

PTAが忌み嫌われる「3大原因」はこれだ!

なぜか横行する「無理」と「無茶」

 

「子どもがいなくてよかった」とまで言わしめる団体

先日、子どもがいない友人から「PTAって大変そうだね? 子どもは欲しかったけれど、PTAのことを考えると『いなくてよかった』と思う」と、真顔で告げられました。

友人が前向きになれたことはよかったですが、そこまで嫌われているPTAって、ある意味スゴイなとも思いました。

先に行われた朝日新聞のPTAに関するアンケートでも、「PTAは少子化の一因」とする意見が散見されました。中にはズバリ「私が第2子をあきらめた理由のひとつはPTAです」という声も。

そもそも、PTAはなぜ、ここまで嫌われるのでしょうか? 原因は、いろいろ考えられます。たとえば……

1 「平等な負担」が目的化しているから
2 やり方に無駄が多すぎるから
3 人間関係そのものが忌避されているから

 

丁寧に見ればまだほかにも原因はありますが、今回はこの3点について、順番に見ていきましょう。

●嫌われる理由1 「平等な負担」が目的化しているから

委員や役員決めをする際、保護者の間に漂う、いや~な“押し付け合い”の空気。これも、PTAが嫌われる最も大きな要因のひとつです。

この陰湿なシチュエーションは、保護者が「平等な負担」を求め合うことによって引き起こされます。

 

「平等・公平」第一で、無視される個人の事情

本来、PTA活動は「やりたい人がやるもの」であるはずですが、加入が強制になっている(選べない)うえ、「1クラスから委員を○人選出する」などといった決まりがあるため、やりたい人がいないときでも、無理やり「誰か」を選ばざるをえません

すると過去に委員や役員の経験がない人が「ズルイ」という目で見られ、役職を押し付けられたり、じゃんけんやくじ引きで「公平に」誰かが選ばれたりしてしまうのです。

しかし実際はもちろん、「誰でも、いつでも」PTA活動に参加できるわけではありません。

身体や心に病気を患っている人や、ひとり親など「家計を支えるので精いっぱい」という状況の人もいますし、パートナーや親の介護をしている人もいます。また平日日中の活動にせよ、土曜や夜の活動にせよ、都合が合わない人だって必ずいます。

そういった事情をいっさい無視して、「さあ、やってください」というのですから、それは無茶な話です。嫌な空気にならないはずがありません。ですから、まずは「見た目ではわからなくても、保護者の中にはいろんな状況の人がいる」ということを、みんながよく理解しておく必要があります。そしていちばん大切なのは、「やりたい人だけでやる形」をつくることでしょう。

そもそも、なぜ「平等の負担」を求めてしまう人がいるかというと、その人が「やりたくないのに、やっているから」です。もしみんな「やりたくてやっている」のであれば、「やりたくない人にやらせよう」という発想は出てきません。

「平等な負担」を目的化させないためには、「やりたくない人がやらないで済むシステム」をつくることが必要不可欠です。たとえば、「1クラスから委員を○人ずつ選出する」という“委員会制”をやめるのもいいでしょう。

 

想像を絶する、グダグダな進行

●嫌われる理由2 やり方に無駄が多すぎる

「会議や作業の効率が悪くて、とても耐えられない」という声も、しばしば耳にするところです。たとえば、よくあるのはこんなシーンです。

・「お祭りのパトロール」や「卒業式の記念品の手配」など、分担したほうが効率がよい仕事内容でも、いつもみんなで集まって一斉に取り組む。人が余ることもある。
・会議を始めても、すぐ話が横道にそれ、おしゃべりで長引いてしまう。
・行事のスケジュールなど、紙やメールで連絡すれば済むだけのことを、みんなが集まった場で全文読み上げる。

これらは、時間に余裕がある人にとってはあまり苦にならないことかもしれませんが、仕事や介護に追われる忙しい人にとっては、なかなかの拷問です。「PTA、勘弁して!」と思われるのも、無理はありません。

こういった場面に出合ったときは、率直に「こんなふうに変えてもいいでしょうか?」と、効率化を提案するのがよいでしょう。

たとえば、こんな感じです。

・「今日は、○時までに帰らなければなりません」(=「○時までに会議を終わらせてください」の婉曲表現)。
・「すべての日程には出られないので、各日程を2人ずつで分担する形にしてはどうでしょう。私は○日なら出られます」
・「先に決まっている連絡事項は、メールで流してもらってもいいですか」

働いている人に限らず、専業主婦(主夫)でも忙しい人は多いので、提案してみると意外と歓迎されるかもしれません。「これまで誰も指摘しなかったから、ただそうしていただけ」ということも、実は多いのです。

ただし、提案をするのは「周囲の人と、ほどほどに信頼関係を築いてから」がおすすめです。いくら理にかなった提案でも、人によっては「今までのやり方を否定された」ととらえ、傷ついてしまう(しばしば攻撃の形をとる)ことがあるからです。「敵ではない(利害が共通している)」ことを示したうえで提案をすると、比較的受け入れられやすいと思います。

ウェットな人付き合いに巻き込まれる?

●嫌われる理由3 人間関係そのものが忌避されているから

数年前に「無縁社会」という言葉が流行しました。この言葉に表されるように、今は「人間関係そのものが忌避されている」ことも、PTAが嫌われる要因ではないかと思います。

PTAに限らず、人付き合いはどんな場でもややこしいものです。気の合わない人がいたり、行き違いがあったりすれば、面倒に感じて断ち切ってしまいたくなります。

特にPTAは、職場やサークルなどと違って、趣味も生活環境も年代も異なる、共通点の少ない人たちが集まります。そのため、関係を築くのが難しそうに感じられ、最初から「かかわりたくない」と思う人が多いのではないでしょうか。

でも、実際にかかわってみれば「意外と楽しい」と感じる人が多いのもPTAの特徴です。みんな同じ地域に住んで、同じ学校に子どもを通わせる保護者ですから、実際に話をしてみれば、思ったよりも「壁はない」ことに気づくのでしょう。

PTAがなければ知り合えなかったであろう人と知り合うことができ、「かかわってよかった」と感じる人も多いのです。

ストレスを回避するため、人間関係そのものを回避してしまうと、そこから得られる楽しみも手放すことになってしまいます。必ずしもPTAでなくてもよいと思いますが、なんらかの保護者同士のつながりをもっておくことは、悪くないのではと思います。

運が悪ければ、気の合わない人と当たったり、ほかの人と意見が食い違ったりして、ストレスを感じることもあるでしょう。そんなときは、ほどほどに距離を置いて、そっとフェードアウトしたっていいと思います。無理をする必要はありません。

並柳ジローがPTAにいたら安心していただけるのに…